紫がかった濃い木肌が特徴的なムラサキタガヤサン。
ミレシアとも呼ばれるこのマメ科の東南アジア産材は不思議な変化を見せてくれる。
製材すると中は金色っぽかったり、黄色だったりの淡い色。
この淡い色は空気に触れると急速に色が変化していく。
8時間後。
赤みのある感じに。
24時間も経つと薄い紫色。
これが1週間もすれば濃い紫褐色になる。
オイルで仕上げればこんな感じに。
とても面白い変化。 ただ、アッという間なので作る人間にしか楽しめない。
もうちょっとゆっくりとした変化なら使ってくれる人も楽しめるんだけど、こればっかりはしょうがない。 ぼくの知っている限りでは、このような急速な色の変化をするのはマメ科のごく一部の木。非常に珍しい。
中央アフリカに生えているウェンジと東アフリカに生えているパンガパンガという木はムラサキタガヤサンと同じマメ科ミレシア属。
ぱっと見ただけでは区別がつかないくらい、色や表情も同じ。
急速な色変化を見せてくれるのも同じ。
南米産のパープルハートという木も急速な色変化をする。
この木もマメ科だけど属が違い、鮮やかな紫色でミレシア属の3種と見た感じは違う。
全く同じと言っていいほどよく似ていて、生物分類上も近縁種がアジアとアフリカに生えている不思議。
ハッキリとした理由はまだ分かっていない。
説の一つは鳥や風が種を運んでくれたというもの。
可能性としては確かにあるけど、距離的には結構ある。
アフリカからアジアの間の距離がありすぎる感じがする。
ライン上に点在してくれていたら分かりやすいけど。
そもそも同じ緯度上を渡る鳥はいるのだろうか?これも調べた方がよさそうだ。
海に浮かんでいくというのもあるけど、潮流を調べてみると、なかなか難しそうな感じがする。
もう一つの説としては大陸移動によるというもの。
アフリカは1億年ほど前は東側は南米大陸と、そして西側はインド半島と陸続きだった。
緯度も同じ位置なので、環境的にはよく似ていたと考えられる。
その一帯で生えていたものが、大陸移動によって離れたものの、現在も同じような姿で生きているというという説。 しかし、1億年という年月を環境も次第に異なっていく中、同じ姿でいる、もしくは同じような進化をしたなんてことがあるのだろうか。
現在のアフリカのウェンジやパンガパンガとアジアのムラサキタガヤサンがどんな環境に立っているのか、ぼくはよく理解できていない。
現場に行ってみれば、枝や皮のつき方や根の張り方は違いがあるのかもしれない。
中の表情がまだよく似ているだけで。
これもいつか、現地に行って確認してみたい。
どんな環境で生きているのか知らず、それを素材としてモノを作っているというのは恥ずかしいことでもある。
ちなみにバオバブの木はマダガスカルとアフリカとオーストラリアに生えているけど、これは大陸移動によるものだろうというのが現在の理解。
写真で姿を見てみると、ほとんど同じように見えるものもあれば、少し違うものもある。
違うといえば違うけど、同じ雰囲気は持っており、同属だと言われれば納得できる範囲。
いつも「あれ、なんだ?」と思って調べ始めると、次から次へと分からないことが出てくる。
興味が違う方向へもいってしまって木のことを調べていたのに、大陸移動のことばかり調べてしまってるなど、脱線してしまうこともしばしば。
物事の判断は知識がなければできないので、調べることはいいことなんだけど、時間がどんどん過ぎていく。
一度見たり読んだりしたら、脳みそにしっかり定着してくれればいいんだけど、すぐ忘れてしまうのも困りもの。
やっかいなもんだ。
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